欧州銀利上げで「ブラックマンデー」再来の恐怖
欧州中央銀行(ECB、本部・フランクフルト)は現地時間3日、定例理事会を開き、ユーロ圏15カ国の主要政策金利である短期買いオペ金利を0.25%引き上げ、4.25%にすることを決めた。原油などの価格上昇で高まるインフレ懸念を押さえ込むため、1年1カ月ぶりの利上げに踏み切った。ただ、世界の金融機関は米サブプライム住宅ローン問題の傷が癒えておらず、市場からは1987年10月19日に米国株が大暴落した「ブラックマンデー」の再来を不安がる声も出ている。ECBのトリシェ総裁は利上げ決定後の記者会見で「利上げは物価上昇の(経済への)波及効果を避けるため」と説明した。
ユーロ圏の物価は昨年11月から3%超の高い上昇率が続き、特に6月の上昇率は4.0%に達した。ECBが政策運営の目安としているインフレ率(2%)の2倍の水準で、ECBはこの物価上昇を抑えるには利上げが必要と判断した。
もっとも、ECBの利上げは市場関係者に「ブラックマンデー」の記憶を呼び起こさせる。
1987年のブラックマンデー当時は、2年前のプラザ合意以降進んでいたドル安について、「これ以上のドル安は世界経済に悪影響を与える」との見方が強まり、各国が為替相場の現行水準での安定を目指していた時期。しかし、「インフレ懸念が高まった西ドイツは1987年10月、米国の反対を押し切って利上げを実施した。これが、各国の政策協調にきしみが出たとの憶測を呼び、米国株の大暴落につながったとされる」(エコノミスト)。一方、現在の金融市場では、昨年夏のサブプライム問題以降、各国が政策金利を低くすることで金融市場に大量の資金を流し込み、金融不安を押さえ込んできた。しかし今回、ECBがインフレ懸念に押し切られるかたちで利上げに踏み切ったことが金利先高感を拡大させれば、金融機関の経営状況に対する不安が高まる可能性もある。またECBの利上げは米国と欧州の金利差を拡大させることになり、中期的にはドル安ユーロ高を誘発。ドル安になれば、ドル建てで取引される原油に割安感が出て、投機筋が原油買いを加速させる。その結果、原油高から物価高につながる流れがさらに加速する懸念もある。物価高を抑えるつもりで実施されたECBの利上げが、逆に物価高を呼び寄せる結果になる可能性があるわけだ。
明治大学政治経済学部の高木勝教授は「政策協調の乱れが市場の混乱につながるという意味で、ブラックマンデー前夜によく似たムードがある。ブラックマンデーのように1日で大きく株価が下がることがなくても、じわじわと世界的な株安につながる可能性がある」と指摘する。ブラックマンデー翌日の1987年10月20日、日本の日経平均株価は前日終値比3836円48銭(14.90%)も下落。これは過去最大の下落幅となっている。
サブプライム問題で傷ついた金融機関を救済するため、各国は低金利での資金供給を実施している。ECBの利上げがそうした政策協調のきしみと受け取られ、金融市場に動揺が拡大していけば、ブラックマンデーの再来も絵空事とはいえなくなる。
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